ユヴェントスへ移籍したクリスティアーノ・ロナウドの裏側では何が起こったのか?2018年夏
クリスティアーノ・ロナウド移籍の噂がで何が起こっていたのか?今更ながらこの夏最大のオペレーションの裏側を探ってみる
その日も普通に小さな移籍取引成立の発表が行われることになるのだと思われていた。
そう、2018年7月10日この日も同様のはずだった。
だが、蓋を開けてみると大きな違いが。
2018年5月27日。難敵リヴァプールを“ 3-1 ”というスコアで退け史上初のチャンピオンズリーグ3連覇を成し遂げたのがレアル・マドリーだった。
そう、一つの伝説を作り上げたこの日、チームの絶対的エースであるFWクリスティアーノ・ロナウドが「 移籍を示唆する発言を残し優勝に水を刺した 」のだ。
クリスティアーノ・ロナウドの移籍をにおわす発言はこれが初めてではない
もう、数え切れないほどの『 移籍を示唆する発言 』を残してきたC・ロナウド。
その度に、マドリーへ契約更新を迫り高額なサラリーを受け取り続けてきた。
だが、状況が一変したのが2016年に2021年までの契約延長で合意したあたりからだ。
契約延長の時点で、すでに31歳。
そう、いかにC・ロナウドだとしてもキャリアの晩年に差し掛かっており20代の頃のような安定したパフォーマンスを披露することはできないのは間違いない。
・怪我に泣かされるかもしれない。
・突如としてゴール欠乏症というスランプに陥ることがあるかもしれない
・シーズンを通してフル稼働が難しくなってくる年齢にある
長期契約を勝ち取り、高額なサラリーを受け取る契約を構築したC・ロナウドはご満悦だ。
だが、一方でこの契約延長を決断したフロレンティーノ・ペレス会長は、裏では苦虫を噛んだ気持ちであったことは間違いないだろう。
2016年が最後の契約延長に… ペレス会長が企む戦略とは?
31歳を迎えた選手に2021年までの長期契約と昇級を認めた契約延長は、ペレス会長をさらに苦しめることになる。
この後、C・ロナウドの永遠のライバルである以下の2選手を取り巻く状況が一変したためだ。
・バルセロナ所属のFWリオネル・メッシが契約延長で4000万ユーロへ昇給
・パリ・サンジェルマン所属のFWネイマール、バルセロナを退団で3680万ユーロへ昇給
これに苛立ちを感じたC・ロナウドは、クラブ側に契約の見直しを強気に迫る。
これを受け、マドリーが用意した条件は最大で2500万ユーロのサラリーだ。
年齢やパフォーマンスを考えると、経営判断でこれ以上のサラリーアップはできない
ペレス会長は、このように考えていただろう。
そう、この時点でクラブフロントとC・ロナウドの間には埋めることはすでに困難な状況にあるほどの大きな溝が横たわっていたのだ。
C・ロナウドの常人離れしたフィジカル能力で、この溝を飛び越えフロントと交渉を続けてきたが、2018年1月に交渉が事実上破断。
頑なにペレス会長が首を縦に振ることはなかったのだ。
なぜ、ペレス会長は新契約締結に最後まで首を縦に振ることはなかったのか?
ペレス会長は、根っからのビジネスマンだ。
アクセルとブレーキの操り方が非常にうまい。
そのペレス会長が、チームの絶対的エースから契約の見直しを再三にわたり迫られながらも“ NO ”と言い続けたか?
ペレス会長は、C・ロナウドをさほど可愛がってはいなかったと言うのが真実だ。
C・ロナウドがマドリーへ移籍するきっかけとなる移籍交渉を行ったのが前会長のラモン・カルデロン氏だ。
本来ならば、2009年にマドリーの会長に就任後の獲得という青写真を描いていたはずだが、カルデロン氏が交渉をまとめ上げてしまっていた。
ペレス会長は、C・ロナウドのインパクトに劣らない選手を次々と獲得。
これが、後の常勝軍団構築の礎になるわけだが、ペレス会長にとってC・ロナウドだけが目の上のたんこぶの状態であったのだ。
ただ、結果を残し続けるC・ロナウド。
青天井のサラリーを求め続けてくる選手側。
このやり取りに心底疲れはてたとも言われるペレス会長は、チャンスが訪れればC・ロナウド売却のシナリオを練っていたはずなのだ。
だが、売りたくとも売れない。
これが数年続くわけで。
チャンピオンズリーグ連覇のタイミングで、ペレス会長はC・ロナウド側と口頭ながら契約の見直しを行う旨の約束を行う。
これが、ユヴェントス移籍に向けた布石。( このタイミングでは具体的なクラブは現れていないのだが )
17-18シーズン途中にサラリーのさらなる昇給を求めペレス会長と選手は接触
この交渉でもペレス会長は首を縦に振ることはなかった。
『 マドリーで現役引退を 』と宣言したC・ロナウドにとってペレス会長の決断は裏切りと感じたのかもしれない。
まぁ、忠誠心を誓いながらも、これまでピッチ内で度重なる問題行動も目撃されてきただけに、言い逃れはできない状況にあるもの事実。
話し合いは多岐にわたり、具体的にどこまでのことが話されたのかは関係者のみ知るというのが現状だが、この話し合いでユヴェントス移籍に向けた大きな一歩が踏み出された瞬間だった。
ペレス会長が提示した条件は、17-18シーズンにチャンピオンズリーグ3連覇を達成した場合、C・ロナウドの移籍を認めるというものだ。
マドリーは、同選手に設定した契約解除金は7~8億ユーロと言われており、簡単に獲得できるだけの金額ではない。
だが、ペレス会長はC・ロナウド獲得に対し、1億3000万ユーロ前後の移籍金を支払うだけのクラブが現れれば、交渉の席に着くと断言したのだ。
ペレス会長の発言を耳にしたユヴェントスが、いち早くマドリーと接触を図る
もう、このタイミングにまでくれば、ペレス会長の腹は決まっている。如何にして不満分子とかしたC・ロナウドを高値で売却することだ。
年齢的にも選手寿命などを考えれば、33歳の選手に1億ユーロごえのオファーが届くことは考えにくい。
何より、2009年にユナイテッドから獲得した当時のレートよりも大幅アップしているのだ。
マドリーとしては、このようなタイミングは次いつやってくるかわからない… と考えていたことは間違いない。
即飛びつくとまではいかないものの、合意目前の検討というやつで持ち帰ることとなるだろう。
選手の狙いとチームの狙いの違いは?
C・ロナウドの狙い
・契約延長で可能な限り長期契約締結
・高額なサラリーを引き出す
チームが狙っていることは?
・契約延長になった場合、可能な限り短期間による契約更新
・現在のサラリー維持、理想は大幅な減額
結果、ユヴェントスから届いたオファーは、両者を納得させるだけの条件だった
2018年1月の時点で、今夏の移籍に向け条件付きながら“ GOサイン ”が出てしまったわけだが、問題はどのクラブへ移籍を許可することになるかが最大の焦点。
マドリーからすれば、補強資金が潤沢に揃うプレミア勢やパリ・サンジェルマンが理想的な取引相手だ。
だが、筆頭候補とされていたユナイテッドは、夏のマーケットの動きは鈍い。結果的に、指揮官が求める戦力補強を行うことなくマイナーチェンジでシーズンインした。
パリSGは、UEFAのFFP制裁の問題があり、喉から手が出るほど欲しいはずのC・ロナウド争奪戦に参戦すらすることができなかった。
これら好条件が重なったことと同時に、同選手がユヴェントスが移籍先の最優先候補であることを示唆したことで両者の距離が一気に知事まった。
CL決勝戦後の移籍発言の後、ユヴェントスがC・ロナウド獲得交渉をまとめ上げてしまった
正直な感想は、C・ロナウドのほぼ言い値に近い形で契約を締結。
晴れて、ユヴェントスのユニフォームを見にまとうことが決定することとなった。
C・ロナウドがスペイン国外へ移籍を決断したもう一つの理由… スペインでの脱税疑惑
これは、間違いなくC・ロナウドとクラブの間に大きな亀裂を生んだ一つの出来事だ。
スペイン当局からC・ロナウドが脱税で告発された。
巨額の罰金刑が下されることとなったわけだが、この時のクラブの対応がいつになく冷たいものだった。
ここで、他クラブに目を向けてみよう。
バルセロナのリオネル・メッシも、スペイン当局からC・ロナウドから同レベルの脱税疑惑が追求された。
ここでバルセロナが対応したのが、クラブをあげて税務調査に協力、罰則金をクラブが全面肩代わり。
C・ロナウドも、最低限同レベルの対応を期待していたようだが、クラブ側は一切関知しなかったという。
制度、そしてクラブの非協力的な態度は今回が初めてではなく、日頃から問題を貯め続けてきたことが、新契約にサインをするという大きな引き金となったのかもしれない。
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